たとえば、初対面の相手が、あなたの大ファンになって、
「私にできることなら、何でも応援します」
と言ってくれたらどうなるでしょうか?
たとえば、愚痴ばっかりこぼす職場の仲間が、
あなたに相談したとします。
そのとき、相手の心をあなたが癒して、
「ありがとう。スッキリしました。今日から仕事に専念できます」
と言ってくれたらどうなるでしょうか?
たとえば、あなたの恋人が落ち込んでいて、
デート中もため息ばかりついていました。
そんなとき、あなたが恋人の心を癒してあげて、
「ありがとう。キミは最高の女性だよ」
と言ってくれたらどうなるでしょうか?
相手は、きっと、あなたのことをかけがえのない存在として、
一生大事にしてくれるのではないでしょうか。
そんなことを可能にしてくれる会話テクニックがあります。
『質問型会話テクニック大全』(高橋フミアキ/コスモ21)には、
24の会話テクニックが収録されてあるのですが、
これが、かなり使えるテクニックばかり!
そのなかでも厳選して3つの会話テクニックを紹介しちゃいます!
■人を癒す仕事をしている人は必見の会話テクニック!
本書で紹介している会話テクニックは、
もともとはミルトン・エリクソン(1901~1980)の精神療法で使われていたものです。
本来は、医療現場で使われていた療法を、
会話テクニックに応用したのです。
このミルトン・エリクソンがいかにスゴイ人だったかというのは、
いくつかのエピソードを紹介すればわかると思います。
両親がいくら言っても爪噛みをやめようとしない6歳の男の子に、
ミルトン・エリクソンは、こんなことを言います。
「お父さんとお母さんは、キミにね、ジミー、
爪噛みをやめなさいって、ずっと言ってきたよね。
けど、お父さんもお母さんも、キミがまだ6歳だってことを、わかってないようだね。
それに、キミが7歳になるちょっと前に
ごく自然に爪噛みをやめるってこともわかってないようだ!
だから、お父さんとお母さんが爪噛みをやめなさいっていったら、
とにかく知らんぷりしなさい」
結果、ジミーは7歳になる一か月前に歯噛みをやめ、
そのことを自慢するようになったと言います。
これは「ダブル・バインド(縛り)」というテクニックです。
こうした会話テクニックは、
カウンセリングの現場で活用できます。
ライフコーチングやチャネリング、リーディング、
アロマセラピー、カイロプラクティック、整体など、
会話しながら人を癒す仕事をしている人には、
必見の会話テクニックだといえるでしょう。
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■会話テクニック1/ダブル・バインド
ミルトン・エリクソンが提唱した「ダブル・バインド」をひとことで言うと、
こうなります。
「二者択一の質問を作るとき、どちらを選んでも良い結果になる」
たとえば、こんな質問を投げかけるといいのです。
【会話例】
あなた「あなた、料理の勉強してみたいって言ってなかったっけ?」
相手「言ってた」
あなた「レシピをネットで調べて料理してみない? 上手になったら、友だちを読んでホームパーティしようよ」
相手「いいね」
あなた「まずは、今年の夏までにやろう? フランス料理にする? それとも中華料理にする? どっちを作りたい?」
相手「どっちがいいかなぁ。中華のほうが簡単そうだね」
あなた「料理がうまくなったら、あなた、人気者になるかもよ。もちろん、料理ができなくても、すでにあなたは人気者だけどね」
【ポイント】
「ダブル・バインド」とは
「こうすれば治るでしょう。こうしなければ、やはり治るでしょう」
という種類のコミュニケーションを言います。
バインドとは、「束縛する」とか、「拘束する」という意味ですが、
「結びつける」「関連付ける」という意味もあります。
今回の会話例では、
「料理をする」ことと「人気者になる」ということを結び付けたわけです。
ミルトン・エリクソンは、
「束縛する」という意味合いでも、
このダブル・バインドを活用していました。
たとえば、爪噛みをやめない6歳の子どもに、
「キミが7歳になるちょっと前に、ごく自然に爪噛みをやめる」
と言っています。
子どもは、どうあがいても7歳になります。
逃げられませんから、これは束縛と言えます。
そこで、ミルトン・エリクソンは、
「7歳になること」と「ごく自然に爪噛みをやめること」を
結び付けて暗示したわけです。
この会話テクニックはいろんなところで使えますから、
ぜひ、使ってみてください。
「もしかして、あなたは30代ですか?
40代になったら人間的な深みが出てきて、
ビジネスにもプライベートにも、
ごく自然と人生が充実しますよ!」
こんなふうに言われたら、
あなたはどんな気持ちになりますか?
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■会話テクニック2/マルティプルチョイス(多選択肢)
人は誰しも、自分の感情さえも、正確に把握していません。
自分が何を言っているのか、客観的に理解できていないのです。
そんなとき、複数の選択肢を提供されることで、
少しだけ気持ちを整理することができます。
たとえば、こんな会話です。
【会話例】
相手「お前がオレに内緒で合コンへ行ったこと、まだ許してないんだからな」
あなた「それ、去年の話よ。もう終わったことでしょ。なに、蒸し返してるのよ」
相手「オレの心の傷は、まだ癒されてないんだよ」
あなた「心の傷が、まだ癒されていないのね?
その傷は、胸のあたりがキリキリと痛むような傷なんでしょうか?
それとも、ぽっかりと穴が空いたような傷なんでしょうか?
もしかすると、癒されていないと思い込んでいるだけの傷なんでしょうか?」
相手「よくわからないよ」
あなた「じゃあ、数字で考えてみて?
ゼロが正常値で、10が最大の痛みだとすると、その傷は、いま、どのくらいですか?」
相手「そうだな。8くらいかなぁ」
あなた「その傷を癒すことができますけど、癒したいですか?」
相手「そりゃ、癒したいよ」
あなた「では、いま8の痛みだったのを、
5か4くらいまで緩和したいと思うのですが、
そのセッションをやっていいですか?」
相手「痛みが和らぐのならいいよ」
あなた「では、目を閉じてください。
私が3分間ハグをしますから、黙って、ジッとしていてくださいね」
【ポイント】
この質問で曖昧な感情を数値化します。
「ゼロが正常値で、10が最大の痛みだとすると、
その傷は、いま、どのくらいですか?」
数値化することで、自分の心の傷が明確になるのです。
そして、目標を共有します。
この場合の目標は、
「8の痛みだったのを、5か4くらいまで緩和する」ということです。
目標が明確になり、2人で同じ目標に向かって進むことができます。
心の傷を癒すセッションは、何でもいいのです。
あなたの好きなことを2人で実践してみてください。
心を癒すには、スキンシップが効果的なことは、
さまざまな研究で証明されています。
スキンシップによって「幸せホルモン」「抱擁ホルモン」
と呼ばれているオキシトシンが分泌され、
ストレスが緩和され多幸感が増すのです。
■会話テクニック3/レッド・ヘリング(注意そらし)
否定的な予想と相いれないなんらかによって注意がそらされると、
永続的な悪循環を中断することができます。
悪循環が中断すれば、
より多くのエネルギーを新たな学びに使えるようになります。
「注意そらし」は、それを目的としています。
注意をそらすための道具のことを「レッド・ヘリング(燻製ニシン)」といいます。
猟師が「レッド・ヘリング(燻製ニシン)」を引きずって
猟犬の注意をそらしたことからきています。
推理小説で真犯人から注意をそらすために
犯人らしき人物を登場させることがありますが、
その犯人らしき人物のことをレッド・ヘリングということもあります。
【会話例】
相手「オレのおふくろが、結婚しろって、うるさいんだ。
やれ、どこどこの何々ちゃんは、結婚して子どもが生まれたとか、
誰々君は、盛大な結婚式をあげたとか。
30過ぎて結婚もせずに実家暮らししてる子がいると思うと、
恥ずかしくて街を歩けないとか、そんなこと言うんだ。どう思う?」
あなた「口うるさい母親を黙らせる方法がありますよ。知りたいですか?」
相手「知りたい」
あなた「口うるさいお母さんが、優しくあなたに接してくれたら最高ですよね。
そんなお母さんになってもらう方法なんですが、
その前に、ちょっと2・3、質問させてもらってもいいですか?」
相手「はい。いいですよ」
あなた「いままで、観た映画で、一番、感動したのは、どの映画ですか?」
相手「ショーシャンクの空に、かな」
あなた「ああ、あの映画、私も観た!」
【ポイント】
このケースでは「口うるさい母親を黙らせたい」という願望がすぐに見つかります。
そして「その方法がありますよ」と言えば、
相手の注意は、母親の残像から、そちらにそれていきます。
つまり、この言葉がレッド・ヘリングです。
「口うるさい母親を黙らせる方法がありますよ。知りたいですか?」
この質問で主導権があなたに移動します。
相手は当然「はい」といいますから、
そのあとは、あなたが次々と質問を投げていけばOK。
あなたの好きな話題へもっていくこともできます。
映画とか、グルメとか、何でも好きな質問をすればいいのです。
そして、今度は、映画やグルメなどのあなたが楽しめる話題で盛り上がればOK。
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■まとめ
この他にも、驚愕の会話テクニックがいっぱい収録されています。
ホントにビックリします!
人を癒す仕事をしている人は、必ず読んでおいてください。
これは必需品ですぞ。
もちろん、人を癒す仕事をしていない人も、
この会話テクニックで人間関係が大幅に改善されます。
職場の人間関係や恋人との関係、
家庭での子どもとの会話など、
いろんなシーンで活用できます。
『質問型会話テクニック大全』(高橋フミアキ/コスモ21)
ぜひ、購読してみてください。