『となりの億万長者/成功を生む7つの法則』(トマス・J・スタンリー/ウィリアム・D・ダンコ/早川書房)
この本を読んだときの衝撃はいまでも忘れられない。
億万長者といえばプール付きの豪邸に住み、豪華客船で世界旅行を楽しみ、
高級ブランド服に身を包んでいるものと思い込んでいた。
多くの人がそんなイメージを持っていたはずだ。
ところが、実際は違う。この本が億万長者のイメージを根底から崩してくれた。
著者はこう言う。
「必要とあらば時間、エネルギー、消費行動を変更するつもりがあるというのなら、あなたにも資産は築ける。
あなたが経済的に自立することは十分可能だ」
つまり、誰でも、あなたでも億万長者になれるという。
起業する必要もない。
サラリーマンでも十分、億万長者になれる。
ポイントは次の3つ。
(1) 自分をコントロールする精神力
(2) 犠牲をいとわぬ態度
(3) 勤勉さ
具体的にどのようにすれば凡人が億万長者になれるのか、本書をひもときながらご紹介しよう。
■膨大なインタビューから億万長者の実像に迫る!
本書は「純資産を100万ドル以上持つ人」を億万長者と定義している。
日本円にすると1億円以上の資産を持っているということだ。
500人以上の資産家にインタビューをし、1万人以上の資産家や高額所得者にアンケートを実施した結果が本書である。
その膨大な調査から得た億万長者の実像とは、
私たちが考えるお金持ちとは、まったく違うものだった。
ある銀行員と億万長者を比較してみると、
外見は銀行員のほうがはるかにお金持ちに見えると著者は言う。
銀行員は高価なスーツを着ているが、億万長者はスーツにそれほどお金をかけない。
むしろ、スーツを着ないことのほうが多い。
銀行員の持っている腕時計は5000ドルするブランドものだが、
お金持ちはその10分の1も時計にお金をかけない。
銀行員は、新型の輸入車に乗っているが、
億万長者で高級輸入車に乗っているのはごく一部で、
たいていは新型モデルにも乗らない。
私たちはマスコミのせいで、
お金持ちは豪邸に住み、高級ブランド物のバッグや服を身につけ、
自家用ジェットで移動するというイメージを刷り込まれている。
質素で地味な生活を送る億万長者は、少しもカッコよくないし、
テレビで放送しても視聴率はかせげないだろう。
実は派手な暮らしをしてお金持ちぶる人たちの多くは、借金まみれだったりする。
つまり、私たちは、マスコミによってお金持ちの虚像を見せられているのだ。
豪邸や高級ブランド物を追い求めているようじゃあ、とうてい億万長者にはなれないと著者は言っている。
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■億万長者の特徴を一言であらわすと「倹約」となる!
野球のスター選手は30歳で500万ドル稼ぐ。
日本にも億を超えるスター選手はたくさんいるが、
果たして100万ドル以上の資産を持つ人が何人いるだろうか。
残念ながらごく少数なはずだ。
それは、彼らが派手なライフスタイルを身につけてしまっているからだ。
いくら稼いでも使ってしまったら資産は形成できない。
中学生でもわかる理屈だ。
500万ドルも稼ぐ時期が永遠に続くわけではない。
いつまでも派手にお金を使っていると、資産など持てるはずがないのだ。
つまり、億万長者は倹約家だということ。
スーツや靴や腕時計や自動車など、ステイタス・アイテムにかけるお金は非常に少ない。
だからこそ、億万長者になれたといえる。
年収1000万円以上もあるのに資産を持てず億万長者になれないような人たちが、
ステイタス・アイテムにお金をかける。
とくに重要なのは奥さんの存在。
億万長者の家庭では、妻が輪をかけて倹約家であることが多い。
「うちのワイフの財布のひもをゆるめるのは不可能だ」という億万長者もいる。
「結婚相手が浪費家だったら、1代で財を成すのは不可能だと思ったほうがいい。
夫婦のどちらかでも金遣いが荒いようだったら資産は貯まらない」
と著者は述べている。
こんなエピソードが紹介されている。
自分で起こした会社を上場にこぎつけた億万長者が、
ある朝、800万ドル相当の株を妻に分け与えることを告げた。
31年間連れ添った妻は
「ありがとう。とても感謝しているわ。ほんとうよ」
とニッコリした。
だが、キッチンのテーブルに座り
「このクーポンで25セント引き!」とか
「50セント割引券」などと書かれた新聞広告を
1枚1枚切り取る手は片時も休めなかった。
億万長者は攻めも守りもしっかりしている。
どちらかと言えば、守りに強いほうが、攻めに強い人よりもうまく資産を築くことが多いという。
■なぜ医者に金持ちが少ないのか?
医者の平均所得は14万ドル、全米の世帯平均所得約3万3000ドルの4倍以上ある。
なのに、多くの医者は資産を持っていないという。
なぜ医者は蓄財が下手なのか、著者があげた第一の理由は「学歴」だ。
学歴と資産レベルは反比例する。
著者の行った調査によると億万長者は「会社のオーナー」で
「大学中退」「大学卒」「大学に進学しなかった」人々が多数派だったという。
つまり、学歴のある人たちよりも、社会に出る年齢が早いのだ。
医者は在学期間が長く、社会に出るのが遅くなる。
学校にいる間にお金を貯めるのは難しい。
学校に長くいればいるほど、収入を得て資産形成にとりかかるのが遅くなるということだ。
2つめは、世間体の問題。医者はそれなりの生活をしなければいけない。
りっぱな家に住み、高価なスーツに身を包み、高級車に乗り、
職業にふさわしい暮らしをしなければならない。
医者や弁護士などの専門職の人々は、外見で能力を判断されてしまうからだ。
3つめは、医者が利己的でないということ。
慈善事業に多額の寄付をするのは医者に多い。
お金持ちそうに見える医者が資産ゼロだったりする。
お金持ちかどうか、外見ではわからない。
お金持ちそうに見える人ほど借金で首が回らない状態だったりする。
あなたがもしも、外見や世間体にこだわりお金を浪費しているようだったら、
資産を持つのは難しくなるだろう。
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■親からお金の援助を受ける人の3つの特徴
親からお金の援助を受けている人は、ちょっとおかしいところがある。
この特徴は、遺産を相続した人にも当てはまる。
1つめの特徴は「与えられた金は貯蓄よりも消費に使われる」
子どもが家を買うとき、ちゃんとした生活ができるようにとお金を出してやる親は多い。
「これで子どもにお金をかけるのはオシマイ」というわけだ。
このように、全額にしろ一部にしろ、住宅ローンの頭金を補助してやると、
消費に拍車がかかり、その後もずっと親の金に依存するようになる。
極端なケースだと、自立して経済力をつけようとせず、
どうやったらもっと親からお金が引き出せるかに知恵を働かせるようになる。
2つめの特徴は「自分の財産と親の財産を同一視する傾向がある」
親の財産は自分のものだと考えている。
自分たちが自由に使っていい金だと思っている。
父親が自分たちの持っている土地を地元の大学に寄付しようと言うと、息子はこう言う。
「土地はお父さんたちだけのものじゃないだろう。僕のものでもあるんだ。
大学なんかに指一本触れさせるものか!」
自分が働いて手に入れた土地ではないのに、その所有だけは主張する。
どこか歪んだ人間性だと言わざるを得ない。
3つめの特徴は「借入金に頼る割合が高い」
親からお金をもらう人は、多額の遺産がそのうち転がり込むことを当てにして生活するきらいがある。
借金すればタナボタが入ってくるまで待つ必要がない。
この借金は消費のためであって投資目的ではない。
そもそも、親から経済的援助を受ける人には投資に回すお金はほとんどないケースが多い。
お金を援助する親は、子どもをさらに弱くしている。
ますます弱くなるように育てられた子どもが大人になると、
自分から何かをしようとすることのない、主体性のない人間になってしまう。
経済的援助を与えれば与えるほど、子どもは資産を蓄えず、
援助が少なければ少ないほど資産を築くようになる。
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■まとめ
本書を読むと、ちょっとした努力で億万長者になれることがわかる。
強運に頼る必要もないし、お金持ちの家に生まれなかったことを嘆く必要もない。
むしろ、両親がお金持ちだと、自立できない依存心の高い人間になってしまう。
「誰でも億万長者になれる!」のだと、本書は、勇気を与えてくれる。
どうすれば億万長者になれるのか、そのポイントは次の7つ。
(1) 収入以上の生活をしない。
(2) 資産形成のための時間を使う。
(3) 世間体を気にしない。
(4) 親からの援助に頼らない。
(5) 経済的に自立するよう子どもたちを育てる。
(6) 上手にビジネスチャンスをつかむ。
(7) 時代にマッチした職業に就く。
もっと詳しく知りたい方は、
ぜひ、『となりの億万長者』をご購読くださいな~~