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『7つの習慣』でお金持ちになる!

『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー/キング・ベア出版)

 

 出版社の発表によると、本書は44か国に翻訳され、

 

全世界で3,000万部、日本国内で200万部(2018年時点)を売り上げてベストセラーとなったという。

誰もが一度は耳にした書籍だろう。

 

 

表面的な成功は、短期的なもので終わってしまう。

長期的に価値を生み出す真の成功は、人格主義によると本書では語っている。

 

たとえば、人間関係において、相手に興味があるフリをし、

テクニックや殺し文句、流行のファッションを使って好印象を与えることは可能だ。

 

しかし、それは短期的な局面では可能だが、

長期的な人間関係においては、何の利益ももたらさない。

 

大きな問題に直面したとき本当の動機が表面に出てきてしまい人間関係は壊れ、

みせかけの成功は失われていく。

 

 

人間が高い人格を身につけて成長するプロセスは3つのステップがある。

最初は「依存」だ。

2つめのステップが「自立」。

 

そして、最終的に「相互依存」となる。

人は1人では生きていけない、互いに相手を尊重し、分かち合い、

協力し合って生きていくことができる人が真の成功者といえる。

 

つまり、本書は、高い人格を身につけるための思考習慣を7つにまとめてある。

 

 

■第1の習慣/主体性を発揮する。

主体性を発揮するとは、

刺激に対する反応を自分で自由に選択できるということだ。

 

 

本書では、心理学者ビクター・フランクルのエピソードが紹介されている。

 

フランクルはユダヤ人だった。

 

第二次世界大戦のときフランクルはナチスドイツの強制収容所に送られ、

筆舌に尽くしがたい経験をした。

 

両親、兄弟、妻は収容所で亡くなっている。

拷問され、数知れない屈辱を受けた。

自分の運命がどうなるかわからない毎日だった。

 

 

ある日、フランクルは裸にされ小さな独房に拘禁された。

そこで、フランクルは、

ナチスの兵士たちが決して奪うことのできない自由があることを発見する。

 

フランクルは、その状況下で自分がどう影響されるかを自分で選択することができた。

 

フランクルが受けた刺激と、それに対するフランクルの反応との間に、

反応を選択する力が存在した。

 

 

フランクルは、自分の小さな自由の芽を伸ばし、

それを次第に大きく育て、

 

やがてナチスの看守たちよりも大きな自由を持つに至った。

 

フランクルは看守を含めた周囲の人々の模範となり、

生きがいを与える存在となった。

 

その模範のおかげで、

周囲の人たちは苦しみのなかにも生きる意味を、

 

そして収容所生活のなかにも人間としての威厳を保つことができた。

 

 

また、主体性を発揮するとは、

自分の人生に責任を取るということである。

 

私たちの行動は、環境にコントロールされるのではなく、

自身の選択によって決まる。

 

自分の人生の責任を放棄すると反応的になる。

反応的な人の多くは、周囲の環境に影響を受ける。

 

天気が悪ければ気分が悪くなり遂行能力も低下する。

 

一方、主体的な人は、雨が降ろうが風が吹こうが関係ない。

自分の目的を達成するために行動する。

 

 

主体性を発揮するための方法がいくつか紹介してある。

 

1つは、言葉だ。

「どうしようもない」

「生まれつきだ」

「できない」

「〇〇でないとダメだ」

といった反応的な言葉を使わないこと。

 

 

そして

「代替案を考えてみよう」

「ほかのやり方が選択できる」

「自分で自分の感情をコントロールする」

といった主体的な言葉を使うことだ。

 

 

2つは、影響の輪を広げることだ。

 

反応的な人は、自分でコントロールできないことに関心を持つが、

主体的な人は自分の影響下にある事柄に時間やエネルギーを集中させる。

 

そのことで、影響の輪が広がっていく。

 

 

3つは「持つ」ことではなく「なる」ことに集中することだ。

 

「お金を手に入れる」とか

「良い会社に入る」とか

「豪邸に住む」ではなく、

 

 

「立派な人間になる」

「愛を与える人間になる」などだ。

 

 

 

■第2の習慣/目的を持って始める。

目的を持って始めるとは、

目的地をはっきりさせてから旅立つということ。

 

目的地を知ることで、現在地もよくわかる。

 

そして正しい方向に向かって歩き続けることができる。

 

 

すべてのものは2度作られる。

 

知的な第1の創造があり、物的な第2の創造がある。

 

家の設計図を作るのが第1の創造であり、

実際に工事をして家を建てることが第2の創造だ。

「二度測って、一度で切る」とは大工たちの格言だ。

 

目的を持って始めるための、

最も簡単で最も効果をもたらす方法が

「ミッション・ステートメント(個人的な憲法・または信条)」を書くことだ。

 

自分はどうなりたいのか? 何をしたいのか? 

そして自分の行動の基礎となる価値観や原則を明らかにしておくということだ。

 

こんな「ミッション・ステートメント」の例文がある。

 

 まず家庭で成功しよう。

 神の助けを求め、それにふさわしい生活をしよう。

 どんなことがあっても正直に生きよう。

 貢献してくれた人たちを忘れず、感謝しよう。

 判断を下す前に両者の言い分を聞こう。

 助言は素直に受けよう。

 陰口を言わず、その場にいない人を弁護しよう。

 誠意を持ちながら、強い判断力を持とう。

 毎年、新しい才能をひとつずつ身につけよう。

 明日の仕事は今日計画しよう。

 待ち時間を活用しよう。

 ユーモアを忘れないようにしよう。

 公私に渡り秩序正しくしよう。

 失敗を恐れず、失敗から学び、成長の機会を逃すことを恐れよう。

 部下の成功を助けよう。

 自分が話す2倍の時間、人の話を聞こう。

 次の作業や昇進にとらわれず、今行っている作業に全力を集中しよう。

 

 

「ミッション・ステートメント」を書くときのポイントは、

影響の輪の中心から考えることだ。

 

自分にコントロールできないことを書いてもしょうがない。

自分が影響を与えられる範囲内で考えることだ。

 

考えるとき、何を中心におくかが重要となる。

 

家族を中心に考えると家族に依存するようになる。

仕事を中心にするとワーカーホリックになる。

 

個人的なミッション・ステートメントは短期間で作ることはできない。

役立ちそうなアイデアや引用文を集めることから始めるといいだろう。

 

 

 

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■第3の習慣/重要事項を優先する。

私たちのすべての活動は「緊急度」と「重要度」という

2つの軸によって4つの領域にわけることができる。

 

第1領域は緊急性が高くて重要度も高いものだ。

「締め切りのある仕事」

「クレーム処理」

「せっぱつまった問題」

「病気や事故」

「危機や災難」など。

 

 

第2領域は緊急ではないが重要なことだ。

「人間関係づくり」

「健康維持」

「準備や計画」

「リーダーシップ」

「真のリクリエーション」

「勉強や自己啓発」

「品質の改善」

「エンパワーメント」など。

 

 

第3領域は緊急性は高いけど重要ではないこと。

「突然の来訪」

「多くの電話」

「多くの会議や報告書」

「無意味な冠婚葬祭」

「無意味な接待や付き合い」

「雑事」

 

 

第4領域は緊急でもなければ重要でもないこと。

「暇つぶし」

「単なる遊び」

「だらだら電話」

「待ち時間」

「多くのテレビ」

「意味のない活動」

 

 

第1領域に時間を費やす人は「ストレスがたまる」

「燃え尽き現象が起こる」

「緊急に問題対応に追われる」ことになる。

 

第3領域に時間を費やす人は「短期的な視野になる」

「八方美人に見られる」

「目標や計画が意味なく感じられる」

「周りに振り回される」

「人間関係が決裂することが多い」。

 

第4領域に多くの時間を費やす人は「無責任な生き方になる」

「重要なポストから外される」

「他人や組織に依存しきった状態になる」など、多くの弊害が起こる。

 

 

第2領域に集中して時間を使う人が、人生で成功を手にしている。

 

ミッション・ステートメントを作ることも、人間関係を良好に構築することも、

長期的な計画を立てることも、起業のために準備することも、

すべて、この第2領域に含まれるはずだ。

 

重要だが、緊急性がないから、多くの人は、そのための時間を作ろうとしない。

 

第2領域の活動に時間を使うには、「ノー」と言う喜びを見つける必要がある。

他人に対して「ノー」を言ってみよう。

怠惰な自分に「ノー」と言ってみよう。

 

その瞬間、清々しい爽やかな気分になるはずだ。

 

 

 

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■第4の習慣/Win-Winを考える。

人が反抗的になるのは、頭の問題ではなく心の問題である。

心の問題を解く鍵は「愛の基礎的な法則」にのっとって相手に無条件の愛を示すことである。

 

この大原則をベースにしなければWin-Winを達成することはできない。

Win-Winとは、自分も勝ち、相手も勝つこと。

双方が欲しい結果を得ることだ。

 

Win-Winを達成するには次の4つのステップを行うといい。

 

(1) 問題を相手の立場から見る。

本当に相手を理解するように努め、相手と同じくらい、

あるいはそれ以上に相手のニーズや心配・関心事を表現する。

 

(2) 対処しなければならない課題と関心事を明確にする。

 

(3) 完全に納得できる解決には、どういう結果を確保しなければいけないかを明確にする。

 

(4) その結果を達成するための新しい案や選択肢を打ち出す。

 

 

■第5の習慣/理解してから理解される。

 

私たちは、急いで問題のなかに飛び込んで、

何かのアドバイスで問題を素早く解決しようとする。

 

しかも、多くの場合、問題を深く理解する時間を取ることを忘れている。

人間関係でもっとも大切な教訓は

 

「まず相手を理解するように努め、その後で、自分を理解してもらうようにしなさい」

ということだ。

 

 

人に影響を与える鍵は、人に影響されることだ! 

だから、相手の話を聞くときは最も高い傾聴レベル「感情移入」しながら聞くことだ。

 

感情移入は同情とは違う。

同情は評価の一種であり裁くことのひとつの形だ。

 

 

一方、感情移入は相手に賛成することではなく、

感情的にも知的にもその人のことを正確に理解することである。

 

 

 

■第6の習慣/相乗効果を発揮する。

2人の人が同じ意見を持っているとすれば、

そのうちの1人は余分である。

 

「違い」が相乗効果を生み出す根源である。

 

相乗効果とは全体の合計が各部分の和よりも大きくなるということだ。

男女が結婚し出産すると1プラス1が3になる。

 

 

相乗効果の本質は相違点を尊ぶこと。

自分だけが世界をあるがままに見ていると思い込んでいるならば相違点を尊ぶ気持ちにはなれない。

なぜならば「間違っている人」の話を聞くだけムダだと感じてしまうからである。

 

 

意見の相違やぶつかり合いが発生したとき、

その人の立場を裏付ける考えを理解しようと努めるといい。

 

その人の意識している事柄を考慮に入れて、

その問題を創造的かつ双方の利益になるような方法で解決していくのだ。

 

そうすれば、相乗効果を発揮することができる。

この相乗効果が成功を加速させてくれる。

 

 

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■第7の習慣/刃を研ぐ。

切れないノコギリで木を切ろうとすると、時間も労力もかかってしまう。

 

そういうときは、少し休んで刃を研ぐことだ。

多くの人は、木を切ることに精一杯になって、刃を研いでいる暇はないと考えてしまう。

 

刃を研ぐというパラダイムシフトを習慣にする必要があるのだ。

 

 

 


■まとめ

原則を中心にした価値観で生きるためには、原則を理解しなければいけない。

それぞれの原則の価値観を紹介しておこう。

 

夫・妻とは「相互依存的な関係にあり、相互の恩恵をもたらすパートナーである」

 

家族とは「友だちであり、奉仕、貢献、充実を感じる機会。世代を超え、脚本を書き直し、流れを変える人になる」

 

お金とは「大切な優先課題や目標を成し遂げるために使える資源である」

 

仕事とは「自分の才能や能力を有意義に活用できる場」

「経済的な資源を確保する手段」

「自分の時間を投資する領域のひとつで、人生における優先課題や価値と調和させ他の時間領域とバランスをとるべきもの」

 

 

所有物とは「使える資源」「大切に管理すべき責任あるもの」「人に比べれば2次的なもの」

 

娯楽とは「原則中心の生活を送ることで、あらゆる活動からもたらされる喜び」

「一貫性のあるバランスのとれた生活のための大切な真のリクリエーション」

 

友人とは「相互依存し合っている仲間」「分かち合い、奉仕し、相互に支え合う人たち」

 

敵とは「真の意味で意識する敵ではなく、パラダイムや目標が単に違う人たちのこと」

 

宗教組織とは「正しい原則を学ぶ場」「奉仕や貢献をする場」

 

 

自己とは「人は皆、唯一無二の才能を持ち、創造的な人間であり、自己もまた同様で、自立し、同時に相互依存的に活動しながら大きなものを達成できる」

 

 

原則とは「不変の法則で、破れば当然の報いを受けるもの」

「それに沿う限り、誠実・廉潔を保ち、真の成長と幸福に導くもの」