あなたは小泉進次郎議員が育休を取ることに賛成か反対か?
2019年9月11日、
第4次安倍再改造内閣が、皇居での認証式を経て発足した。
「関係閣僚の総力をあげて、
全世代が安心できる社会保障制度を大胆に構想する」
と安倍首相は述べた。
そこで、大きな話題となったのが、
環境相として初入閣した小泉進次郎衆院議員(38)。
小泉議員は
同年8月に滝川クリステルさんとの結婚を菅氏と安倍首相に真っ先に報告し、
例のない官邸での結婚発表をした。
クリステルさんのお腹にはすでに子どもを宿しており、
来春に出産予定であり、
小泉議員は育休を取得すると考えている。
■第4次安倍再改造内閣発足の裏側
2019年7月の参院選に勝利し、過去に例のない国政選挙6連勝を果たした安倍首相は、
8月後半の首脳外交の前後から人事工作を本格化させた。
新人事を「安定と挑戦」と位置づける安倍首相はまず、
内閣の大黒柱の麻生、菅両氏の留任を決めた。
自民党ナンバー2として辣腕を振るう二階俊博幹事長については
「副総裁格上げなどによる『二階外し』を模索した」(自民幹部)とされる。
しかし、二階氏周辺から「選挙に勝った幹事長を外せば、政権基盤が揺らぐ」との反発の声が噴出。
9月3日の安倍首相と二階氏との短時間の直談判の結果、二階氏再任が決まった。
安倍首相は岸田氏の幹事長昇格も視野に入れていたとされるが、
同氏の政調会長再任も決めたことで、結果的に「3本柱+岸田」という政権の骨格が維持された。
では、小泉進次郎議員を起用した思惑はどうなのか?
安倍首相が最大の課題としたのが「挑戦」
この「挑戦」を象徴する人事として起用されたのが小泉進次郎議員だ。
これまでの人事でも首相サイドは小泉議員の入閣の可能性を探ったが、
前2回の総裁選で小泉議員が安倍首相のライバルの石破氏に投票したこともあり、
小泉議員の意思もあって見送られてきた。
ただ、ここで、「小泉が官邸寄りに変身した」(自民幹部)との見方が広がった。
さらに、年明けとされる滝川さんの出産を控え、
小泉議員が「イクメン議員」としての育児休暇取得の可能性を示唆したため、
党内では今回人事でも初入閣見送り説が支配的だった。
しかし、人事の最終段階となった9日に安倍首相が電話で小泉氏の環境相としての入閣を正式に要請し、
小泉議員も快諾したことで入閣が決まった。
小泉議員は11日午後の新閣僚呼び込み後のインタビューに
「ありがたい機会をいただいたと(安倍首相に)感謝している」と笑顔で語った。
今回の首相の小泉氏起用はさまざまな政治的要因が背景にある。
まず、首相にとって、小泉議員抜きの人事となれば
「目玉もなく、政権浮揚も期待できない」(側近)。
小泉銀が入閣すれば、「内閣支持率も5ポイント程度の上昇が見込める」(世論調査専門家)。
さらに、各種世論調査での「次の首相候補」番付でつねにトップを独走している小泉議員を閣僚にして、
ポスト安倍レースの有力候補と位置づけて候補者同士を競わせることで、
安倍首相は退陣後のキングメーカーの地位も固めることができる。
後継レースで「反安倍」の立場を鮮明にする石破氏の当選を阻止するためにも、
石破氏支持だった小泉議員を取り込むことで、
「石破包囲網を強化する狙い」(自民幹部)もある。さらに、今回の人事で政権浮揚に成功すれば、
「年末も含めた早期解散の手がかりもつかめるなど、
首相にとってはメリットだらけ」(閣僚経験者)との見方が多い。
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■なぜ小泉議員は入閣を受け入れたのか?
男性としては戦後の閣僚の最年少記録を塗り替えた小泉議員の立場は複雑だ。
これまで、政権批判も辞さない歯に衣を着せぬ発言で将来の首相候補としての存在感をアピールしてきただけに、
「安倍1強の軍門に下ることによるイメージダウンへの不安」(小泉氏周囲)も拭えない。
この点についても小泉議員は、インタビューで苦笑しながら
「(入閣の受諾は)理屈じゃない、自然と体が出た」とかわした。
もちろん、閣僚になって公式の立場で政治家としての経験を積むことで、
「首相への道が拓けるメリット」(同)はあるが、
起用された環境相は原発問題や混乱するパリ協定への対応など難題が多く、
小泉議員にとっても厳しい試練の場となる。
父親の小泉純一郎元首相は福島原発事故が起きて以降、「原発ゼロ」を訴え続けている。
その息子の小泉議員が閣僚として原発問題にどう対応するかは、
首相候補としての真価も問われることになる。
原田義昭前環境相は、退任直前の記者会見で福島原発の放射能汚染水処理について、
「所管外ではあるが、思い切って海に放出して希釈するほかに選択肢はない」と発言し、内外からの批判を浴びた。
この汚染水問題は小泉議員の就任当初の難題となる。
先のインタビューで小泉議員は
「まず、所管の経済産業省でしっかり議論していただきたい」としながらも、
「地元の皆さんの気持ちをこれ以上傷つけないような結論を」と表情を曇らせた。
こうしたやりとりからみても、今回の環境相としての入閣は
「小泉氏にとってメリット・デメリットが半々」(自民長老)とされ、
政界では「安倍流の意地悪な人事」(同)との見方も広がる。
一方、安倍首相は19閣僚のうち、
2012年12月の第2次安倍内閣発足時から続投する麻生、菅両氏を除く17人を交代させ、
「政権の総仕上げを図る新陣容づくり」(側近)を目指した。
横滑りや再入閣を除く初入閣組も13人と、安倍内閣で最多だった昨年10月改造時の12人を超えた。
官邸における新閣僚へのインタビューは小泉議員のみに集中し、
小泉議員もいつも以上の饒舌さで丁寧に対応した。
閣僚名簿発表と新閣僚呼び込みという見せ場も、事実上の「進次郎劇場」と化し、
1カ月前の結婚発表と同様、情報番組も競うように小泉インタビューを生中継した。
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■小泉議員にとって入閣はプラスなのかマイナスなのか?
小泉議員にとって、
デキ婚に初入閣とおめでたいこと続きだが、実は良い話ばかりではない。
結婚を発表した途端に“女子アナ好き”という裏の顔を週刊誌に暴露され、
キー局女子アナらに二股をかけたとか、NHK女子アナを捨てたとか、下半身事情が明らかになっていた。
大臣になることでさらなる醜聞が続きかねない。
永田町関係者は
「すでにネタが用意されている心配もある。
一番ダメージになるタイミングで報じることを週刊誌はよくやるでしょう」と指摘。
一方、同僚の自民党議員が
「入閣にあたっては、女性問題は考慮されなかったのではないか。
議員たちはスキャンダルを世間ほど意識していません。フェイクニュースもあるんで」と語るように、
問題視しない声もある。
だが、進次郎氏には女性問題よりも心配される“弱点”がある。
それは性格だ。
世論調査で次の首相にふさわしい人物として1位になったこともあるが、
永田町の評判は決して芳しいものではない。
首相経験者の息子でイケメン、おまけに弁が立ち“与党内野党”として自民党に苦言を呈するなど、
国民にウケの良い発言をして喝采を浴びる姿は、嫉妬もされ、身内に嫌われがちだ。
前出の同僚議員は
「進次郎氏の政策がどうこうよりも、ひがみなのか進次郎氏を敵視している人がいる。
進次郎氏の前ではニコニコしているのに裏では違う。
身内に足を引っ張られてしまいかねない」
と男の嫉妬を心配している。
嫌われる根源は「ナチュラルな上から目線の性格」と分析するのは別の永田町関係者だ。
妻の滝クリはフジテレビ系列の報道番組「ニュースJAPAN」キャスター時代(2002年10月~09年9月)に、
一番美しい角度とされる“斜め45度”で原稿を読み上げて話題を集めたが、
夫の進次郎氏は“上から45度目線”で相手に不快感を与えてしまうようだ。
実は過去にこんなこともあった。
「進次郎氏は初当選のころから上から目線なところがあった。
特に印象的だったのが2010年の自民党党大会。
小泉議員は司会を務めましたが、それ以上に注目を集めたのが
“美人すぎる市議”で有名だった藤川優里八戸市議の参加でした」
この時が2人の初対面で、自民党議員らから
「2人が付き合ったらフレッシュな自民党をアピールできる」
という無責任な発言もあったほど2人のコラボは期待された。
2か月後には青森県で自民党の街頭演説会が行われ、小泉議員と藤川氏が再び一緒になった。
当時、野党だった自民党としては、若い2人を前面に出すことで、
生まれ変わった自民党をアピールしたかったわけだ。
だが、舞台裏はピリピリしていた。
「初対面で2人の仲は決裂したというのです。
原因は進次郎氏。進次郎氏は『藤川クン、よろしく』とあいさつしたのです。
これに藤川氏は内心激怒して『何なんだ、コイツは!?』と嫌悪感を持ったのです」(同)
国政と市政の違いもあるが、藤川氏は小泉氏よりも1歳年上であるだけでなく、政治家としても先輩。
後輩の小泉議員が上から目線で、クン付けする相手ではなかったのだ。
この性格は8月末の育休取得宣言でも上から目線が垣間見えた。
「お勤めの方と議員では理解を得られる形も変わる。
『小泉進次郎の育休』は何が良い形か、いろんなアイデアを聞きたい」と話した。
男性の国会議員の育休といえば、宮崎謙介元自民党衆院議員が思い出されるが、
宮崎氏の妻、金子恵美元衆院議員は、テレビ番組で「“進次郎型”って言っちゃうあたりがアウト」と指摘。
大臣となれば、会見や委員会で話す機会が多いだけにこうした
“ビッグ発言”での失言には気を付けた方がよさそうだ。
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■男の育児休暇は是か非か?
小泉議員が宣言通りに育休を本当に取るのか、
波紋を呼びそうだ。
大臣が休んだ場合、副大臣がその職務を代行する。
「官邸内では進次郎氏の育休発言は“入閣拒否”と受け止められていました。
それが一転、初入閣となったのは、
派閥の功労人事と重なって“進次郎人気”に頼る必要があると判断されたから」
と自民党議員。
党内では、進次郎氏の育休宣言には反対意見が多い。
だが、ニュージーランドのアーダーン首相が昨年、
第1子出産で6週間の育休を取得し、世界中で話題になったのを、小泉議員は参考にするともいわれる。
自民党関係者は
「官邸以上に初入閣を喜んでいるのは進次郎氏本人では。
ニュージーランドの首相のように日本初の“育休大臣”として世界のニュースで取り上げられるから。
自分中心の、計算されたシナリオにはいつも頭が下がります」
と皮肉交じりに語った。
入閣の前から、小泉議員の育休発言に対しては驚くほど多くの反対意見がネット上に見られた。
主な反対意見としては、
「取得する場合は業務を引き継ぐ必要があるが、議員だと誰に引き継ぐのか」
「この仕事をすると公約して議員に選出されている限り、それをできない状況が発生するのはありえない」
などの
「議員は替えがきかない」といった種類のものが目立つ。
閣僚であれば尚更替えはきかないと、初入閣を果たした現在もこの点を批判する声は大きい。
小泉議員自身も育休検討を明かした際に、
「世の中でお勤めしている方と議員ではベストのあり方、理解が得られる形もきっと変わる。
何が良い形か、周りの人達に聞いている」(8月31日付の毎日新聞の記事より)と述べており、
議員という職業であることを懸念しているようだ。
育休阻む理由は議員も会社員も変わらないはずだ。
小泉議員の発言が話題となる背景には、日本の男性の育休取得率の低さがある。
1週間未満の短い期間の取得を加えても6%しかない男性の取得率を上げることは、
深刻な少子化問題を抱える日本の政治にとって重要な課題であるからだ。
ではなぜ男性の取得率は低いのか。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングが調査したその主な理由トップ3のうちの2つは、
「人手不足」「自分にしかできない仕事だから」といった「替えがきかない」という理由。
男性が育休を取得しない理由トップ3の3つめは、「取得しづらい雰囲気」であった。
小泉議員自身も「理解が得られる形」という表現を用いているように、
育休を取得することへ周囲の理解が得られるかを懸念しているようである。
ある職場で一人が育休を取得したら、確かにその職場はその分大変になる。
しかし同時に、育休を取得しないとその分その家庭も大変になる。
「替えがきかない」というのは、職場よりも家庭のほうが深刻だ。
職場からその人が抜けた場合、
たちまち大変かもしれないが、代理は誰かがやる。
しかし、家庭の場合、父親の代理は世界中の誰にもできないのだ。
海外では近年、議員の産休・育休関連の制度を整える国が増えている。
代表的なのがノルウェーで、
ノルウェーでは国会議員の休暇が働く人の権利として保証されており、育児休暇も病気休暇も取得できる。
取得時の「替えをきかせる」仕組みもよく考えられており、
ノルウェーでは国会議員は比例代表制で選ばれるのだが、
議員が休暇を取得した場合は、
選挙で各党の次点だった候補が代理議員として復帰までの間の業務をこなす制度が整っている。
この制度は、当選できなかった候補が議員としての経験を積むことにつながるため、
政治家全体のレベルを底上げする効果があり、結果的に議員が代理を頼みやすい、
つまり休暇を取りやすい環境を生んでいる。
ノルウェーに限らずこのように議員の産休・育休制度を整える国は欧米を中心に世界的に増えてきており、
また産休や育休の制度のない国でも、代理投票制度やあらかじめ代理議員を決めておくペアリング制度など、
議員の出産・育児に対応する制度を整えている国は多い。
そんな中、昨年ニュージーランドでは女性のアーダーン首相が6週間の産休を取得した。
産休中は副首相が代理を務め、業務に支障をきたす事もなく復帰した。
産休を取得する際も批判どころか野党を含め多方面から祝福の声が上がっていた。
ニュージーランドのアーダーン首相が産休明けに述べた次の言葉は印象的である。
「確かに今はまだ私のしていることは珍しく注目されます。
でもいつか当たり前なことになる日が来るでしょう」
このように、海外では議員が産休や育休を取得することに対して驚くほど前向きな傾向がある。
日本は未だに議員が育休を取るなんてありえないとの声が多く聞かれてしまうような、
男女平等に働く社会の実現など夢物語に思えてしまう現状である。
しかしそんな日本でも近年、育休を取得する政治家や経営者がわずかではあるが男性にも出てきている。
例えばサイボウズの青野慶久社長は3人の子供に対しそれぞれ3度の育休を取り、
社員に対しても育児を始め1人ひとりのライフスタイルに合った働き方を推奨している。
これにより離職率が下がり、女性社員の数が増え、会社の経営にもプラスに影響しているとのことである。
三重県の鈴木英敬知事も就任後に育休を取得した。
この効果として、就任前の2010年度にはたった1%台だった県庁内の男性の育休取得率が、
知事の取得から2年たった2014年度には16.04%に急増した。
もちろん県庁の業務に問題も混乱も起こっていない(鈴木知事は2016年に2度目の育休を取得している)。
鈴木知事が最初に取得した育休取得期間は3日半である。
このわずか3日半の取得が、ここまで大きな効果を生むという事実はとても興味深い。
このことは、日本でも空気さえ変われば、
育休を含め男性の育児に関する様々な問題を前向きに解決していけるという可能性を示している。
■まとめ
女性が育休を取得するのはわかるが、男がとるのは理解できないという人がいる。
そもそも、女性も育休が取れない雰囲気のある職場もあるだろう。
昭和の時代は、何が何でも仕事が中心で、
「企業戦士」という言葉さえあった。
いまは平成を通り越して「令和」の時代である。
新しいことをする人は、批難をあびるだろうし、
受け入れてもらえないこともあるだろう。
1人2人とあとに続く人が増えていくことで、
時代が少しずつ変わっていくのだ。
あなたは、
職場の後輩男が「育休を取りたいんですけど」と言ってきたとき、
どう回答するだろうか?
復帰したときに居場所がなくなるような職場なのか、
「育休取るくらいなら退職しろ」という雰囲気なのか?
大いに議論するべきだ。