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なぜIT大手ヤフーとLINEは経営統合したのか?

なぜIT大手ヤフーとLINEは経営統合したのか?

 

20191118日夕方、

ヤフーの持ち株会社、Zホールディングスの川邊健太郎CEOと

LINEの出澤剛CEOは都内で記者会見した。

 

ヤフーとLINEは、

経営統合によって互いの強みを持ち寄り、

世界的に成長していきたいと抱負を述べた。

 

川邊氏は緑色、出澤氏は赤色のネクタイをして登壇し、

互いの企業のイメージカラーのネクタイを交換したと説明した。

 

 

 

 

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■記者会見で話したこととは?

 

会見の中でLINEの出澤CEOは

 

「現状への危機感の1つは世界的な巨大IT企業の存在だ。

ネット業界は、優秀な人材やデータなど、

すべてが強いところに集約してしまう構造を持っている」

 

と述べアメリカなどの巨大IT企業に対抗することが

統合のねらいだと明らかにした。

 

Zホールディングスの川邊CEOは、

 

「LINEはスマホアプリで大成功し、若い利用者が多い。

ヤフーはパソコン時代からのシニアの顧客がたくさん使っている。

両社の顧客基盤には補完関係がある」

 

と述べた。

 

2人は、台湾やタイなど、

LINEの海外の顧客基盤も強みとして挙げたうえで、

 

「日本、あるいはアジアから全世界に飛躍して

世界規模で最高のユーザー体験を提供し、社会課題を解決していきたい。

世界をリードする『AIテックカンパニー』になっていきたい」

 

と述べ、互いの強みを持ち寄り、

世界的に成長したいという考えを強調した。

 

スマートフォン決済など、重複する事業については、

当面は今のまま存続させ、

202010月を予定する経営統合の手続きが済んだあと、

個別の事業のあり方を検討したいという考えを示した。

 

 

 

 

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■孫正義さんはどれくらい関与しているのか?

ヤフーは、検索エンジンだけでなく、ニュース配信など、

インターネットのポータル(玄関)サービスとしては国内で最高の強さを持ち、

月間利用者は6700万人に達する。

 

一方のLINEは、韓国の検索大手NAVER(ネイバー)の子会社で、

日本を代表するメッセージング・アプリとして知られる。

 

若者の絶大な支持を背景に、8200万人の月間利用者を持つ。

 

この2社が経営統合するとなると、

あの人の意見が気になる。

そう孫正義さんだ。

 

Zホールディングスの川邊CEOは、

統合についてソフトバンクグループの孫正義社長に説明した際、

 

100%賛成だ。

やるからには今までできなかったような

大きな課題解決につながるようなことをやらないと意味がない」

 

と伝えられたことを明らかにした。

 

さらに、

プレスリリースの一部を抜粋してみよう。

 

「本経営統合を実現するための取引の一環として、LINEは、

本日付で、ZHDの親会社であるソフトバンク株式会社及びLINE

親会社であるNAVERコーポレーションより、

LINEの普通株式、新株予約権及び新株予約権付社債の全てに対する

公開買い付け及びその後の一連の取引を通じて

LINEを非公開化する意向がある旨の意向表明書を受理しております」

 

 

ここで言う「ソフトバンク」とは孫正義氏が社長を務める

ソフトバンクグループ(SBG)ではない。

 

国内で携帯電話事業を営んでいるSBGの子会社で、

孫氏の右腕である宮内謙氏が社長を務めている。

 

ではSBGは何の会社か。

孫氏の説明ではSBGは事業会社でなく、「投資会社」である。

LINEの親会社であるNAVERは韓国の検索大手だ。

 

つもり、孫氏が社長を務める投資会社のSBGがあり、

その子会社が携帯電話のソフトバンクであり、

そのまた子会社(つまりSBGの孫会社)がZHDだ。

 

この親、子、孫が全部、株式を上場している。

親は子、子は孫の大株主だが、上場企業であるから一般の少数株主もいる。

 

大株主である親会社が子会社、

子会社が孫会社の経営に強い影響を与えるのは当然だが、

上場企業である以上、子と孫は、

それぞれの少数株主の利益も守らなくてはならない。

 

今日の記者会見でも、その複雑さがあらわになる場面があった。

 

孫氏の関与を全力否定

「今回の経営統合について、孫正義社長はなんとおっしゃられているのでしょうか」

という質問が記者のなかからあがった。

 

誰もが、SBGもソフトバンクもZHDも実質的には

孫氏がコントロールしていると思っている。

 

株主構成を考えてもSBGのトップである孫氏が反対するディールを

子のソフトバンクや孫のZHDが推し進められるはずがない。

 

しかしZHDの川邊健太郎社長は幾分、気色ばんでこう答えた。

 

「今回の経営統合について、一部にSBG主導、

孫さん主導という報道があったが、それは違う。

何度も説明したように、この話は私と出澤(剛LINE社長)さんの

話し合いから始まったもので、

その後、ZHDの親会社であるソフトバンクの宮内さん、

LINEの親会社であるNAVERの社長(ハン・ソンスク氏)の4人で話し合った。

この件に関して孫さんは、あまり関与していない」

 

「あまり」という表現が気になるところだ。

 

 川邊氏が指摘した「一部報道」の中には

「孫氏がNAVERの経営陣と直談判して経営統合にこぎつけた」

というものもあった。

 

別の報道では、孫氏は川邊氏らZHDの経営陣の顔を見るたび

「いつ楽天を抜くんだ。いつアマゾン(・ドット・コム)を抜くんだ」

とプレッシャーをかけていたという。

 

そもそも孫氏がZHDの経営に関与していないはずがない。

 

20199月、ZHDに社名変更する前のヤフーが衣料品通販サイトの

「ゾゾタウン」を運営するZOZOを買収した時にも、

創業者の前澤友作氏が駆け込んだのは孫氏のところだった。

 

919日の記者会見には「サプライズ・ゲスト」として孫氏が登場し、

前澤氏とお揃いのTシャツを着て、はしゃいで見せた。

 

さらにいえば、社長と社外取締役の解任という荒技で世間を騒がせた

オフィス用品通販アスクルを舞台にした「アスクルの乱」にも孫氏の影がちらつく。

 

アスクルの大株主であるヤフーが、

アスクルに対して個人向けネット通販サービス「ロハコ」の譲渡を求めたところ、

社長の岩田彰一郎氏が反対し、社外取締役も

「アスクルの少数株主の利益が損なわれる」と岩田氏側についた。

 

ヤフーは大株主の権限を行使し、

アスクルの株主総会で岩田氏と社外取締役を再任しなかった。

 

 

アスクルの乱、ZOZO買収、LINEとの経営統合。

背後に孫氏の意思が働いているのは間違いないが、

 

「孫さんは関与していない」と言うしかない川邊社長と出澤社長のネクタイ少し痛々しい。

 

 

■米中IT大手への危機感

アメリカの「GAFA」(GoogleAmazonFacebookApple)、

中国の「BATH」(BaiduAlibabaTencentHuawei

と呼ばれる米中のIT大手に対し、

日本企業が後塵(こうじん)を拝している。

 

ZHDの川邊健太郎社長は同日開いた会見で

「日本、アジアから世界をリードするAIテックカンパニーを目指す」

と繰り返し強調した。

 

PayPay」「LINE Pay」といった両社のサービス統合を含めた戦略は未定で、

経営統合が完了する202010月以降に検討するということだ。

 

今後は、両社が50%ずつ出資するジョイントベンチャーを立ち上げ、

その下に経営統合後の新生ZHDを子会社として置く。

 

新生ZHDの下には、現在のLINEの事業を承継する新会社とヤフーを

兄弟会社として並べる。

 

LINEは上場廃止となる見通しだ。

 

 

 「副社長時代から年に1回ほどLINEの幹部と会い、

『大きなことを一緒にやりましょう』と打診していた。

いつも笑って済まされていたが、今年の春は『そうですね』と反応が違った。

『お酒を入れない場で話をさせてください』とお願いし、話を進めた」

 

川邊社長は舞台裏をそう振り返った。

 

LINE側が川邊社長の提案を受け、交渉のテーブルに着いた理由は、

GAFAへの後れという強い危機感を感じていたからだという。

 

出澤社長は

「現在はお金や人、データが強い企業に集まり、“勝者総取り”の状況になっている。

グローバルテックジャイアントとその他の企業の差は開く一方だ。

この差がさらに開くと、ネット企業だけでなく、

国力や文化のレベルまで差をもたらすと感じていた」

と説明した。

 

 

交渉を重ねる中で、両社の経営陣が至った結論は、

経営統合によって両社のサービスをより強固にし、

世界で戦える体制を築くこと。

 

シニア層を中心に約6700万人の月間利用者を抱えるヤフーと、

若年層を中心に約8200万人のMAU(月間アクティブユーザー数)を持つLINE

相互の弱点をカバーし合うことで、

将来的にはGAFAに対抗できるプラットフォームを構築できると判断した。

 

ただ現状では、統合後も時価総額や業績、研究開発費用の面で

GAFAなどに及ばないため、

当初はタイや台湾、インドネシアをはじめとするアジア諸国で

シェアをさらに高めた後、欧州や米国に進出する考えという。

 

GAFABATHに続く第三極だと評価されるようなシナジーを生み出したい。

両社の従業員を合計すると2万人以上で、

エンジニア、デザイナー、データサイエンティストを合わせると数千人規模に上る。

 

この体制で未来を作っていける」(川邊社長)

 

 

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■まとめ

次世代通信の技術開発も気になる。

 

近く5G(第5世代移動通信システム)のプレサービスが始まる見込みだし、

既に次世代通信「6G」の研究開発が進んでいる。

 

アメリカも中国も新しい技術革新をどちらが覇権を取るか、

必死に攻防戦を繰り広げている。

 

そんななかで、日本がどれほど食い込んでいけるのか、

あまり期待できそうにない。

 

せめて

Yahoo!LINEの統合が、大きな存在感を持つようになってほしい。